「まさかうちのクリニックが?」退職代行を未然に防ぐ!スタッフが辞めない職場作りの極意

クリニックでも退職代行が増加している現実
今年の流行語にもなりつつある「退職代行」会社モ―ムリ(株式会社アルバトロス)に家宅捜査が入ったというニュースは皆さんご存知のことと思います。
そんな退職代行ですが、クリニックではどのようにして対策をしておくべきでしょうか
1. 問題提起:退職代行はもはや「他人ごと」ではない
◦ 退職代行は年々増加しており、今やブラック企業だけでなく、普通の会社でも利用されるケースが増えています。
◦ 特に若年層(7割が20代、4割が入社1年以内)での利用が顕著です。
◦ これは若者の意欲不足ではなく、「話しても変わらないという諦め」と「トラブルを避けたいという合理的な判断」に基づいています。
2. 核心:信頼崩壊のサインとしての退職代行
◦ 退職代行の増加は、単なる流行りではなく、職場の信頼が崩壊しているサインであると認識すべきです。
◦ 根本原因は、職場での対話(コミュニケーション)が離れており、不足していることにあります。
3. 本記事の目的: 職場の信頼を取り戻し、退職代行を「使わせない会社作り」と「使うような人材を雇わない」という両面からの対策を解説します。
第1章:スタッフとの信頼関係を築く「未然防止策」
クリニックの離職理由第1位は人間関係であり、ここを改善することが最優先です。
1-1. 定期的な1on1面談の習慣化
• 離職率の大幅な削減効果: 1on1面談を定期的に行うことで、上司と部下の間に信頼関係を築き、離職率を減らすことができます。
• 早期の異変察知: 上司が部下の「最近様子がおかしいな」といった変化に自然と気づけるようになり、危険な状況になる前に声をかけることが可能です。
• 相談しやすい空気づくり: 信頼できる上司や相談できる人がいることで、「やめよう」という気持ちを思いとどまらせる効果が期待できます。
1-2. 退職を「責めない」姿勢の徹底とデータ化
• 非難しない対応: 従業員が退職を決めた場合も、責めることなく、やめる理由を最後に聞き出す姿勢を徹底します。
• 原因の改善: 聞き出した退職理由(人間関係、給与、成長機会の欠如など)をデータ化して分析し、同じ理由で辞める従業員を減らすための改善策を講じます。
1-3. 風通しの良い職場環境の整備
• 退職代行の増加原因はコミュニケーション不足にあるため、風通しの良い職場を作ることが、従業員が辞めにくくなるカギです。
• 助成金の活用:働きやすい制度(有給休暇が取りやすい制度、時短勤務や時差出勤制度など)を導入するために助成金を活用し、従業員が安心して働ける環境を整備します。
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第2章:クリニックを守るための「制度的対策」
デジタル化やSNS文化の浸透に対応し、時代の流れに合った制度を整える必要があります。
2-1. 就業規則への退職代行関連条文の明文化
• 時代の変化への対応: 時代にあった就業規則を作成し、退職代行の利用に関する条文を明文化します。
• 懲戒・減額の可能性を記載: 退職代行業者を使って退職した場合、懲戒の対象にしたり、退職金を減額したりする可能性を記載することで、対応が可能になります。
• 申し出方法の制限: LINEやスマホでの退職の申し出を禁止するといった内容を明文化することも推奨されます。従業員には直接会社に退職を申し出るよう促します。
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第3章:採用段階でのリスク回避策(「使う人材」を雇わない)
入社後にトラブルを起こす可能性のある人材や、退職代行を使う傾向の高い人材を雇わないための対策です。
3-1. 面接時の適性検査の実施
• 「不適検査」の活用: ストレス耐性が低い方や、ネガティブな思考が強い方は採用しない方が良いとされています。
• コミュニケーション能力の判断: 適性検査(不適検査)は、コミュニケーション能力の高低も判別できるため、学歴だけで判断せず、トラブルを起こす可能性のある方を慎重に見極めます。
3-2. 「見極め質問」と前職の退職理由の深掘り
• 考えさせる質問: 応募者が深く考えなければ答えられないような**「見極め質問」**を行います。
◦ 例:「職場で意見が違った場合、どのように解決しましたか?」
• 過去の言動の確認: 短期間で退職している場合はその理由を詳しく聞きます。
• 要注意人物の傾向: 退職理由を話す際に、以前の会社の悪口を言うような方は自身に非がないと考えている傾向があり、同じことを繰り返したり退職代行を使う傾向が高い可能性があるため、採用には慎重になるべきです。
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まとめ:退職代行を防ぐ二つの柱
• 退職代行を防ぐには、**「退職代行を使われない会社作り」と「退職代行を使うような人材を雇わない」**という両方のアプローチが必要です。
• 退職代行の急増は職場におけるコミュニケーション不足の表れです。クリニックが風通しの良い職場を作り、対話が制度化されていれば、退職代行を防ぐことができます

