クリニック事務長代行は違法?社労士資格者が解説する法的リスクと安全な委託方法

医療機関の人手不足解消として注目される「事務長代行サービス」。
しかし、契約内容によっては重大な法令違反となるリスクがあることをご存じでしょうか。
開業支援と労務管理の両面から数多くのクリニックを支援してきた社会保険労務士・行政書士の視点で、事務長代行業の法的境界線と安全な活用方法を解説します。
1. 事務長代行業は基本的に合法だが…
ポイント:
- 業務委託としての事務長代行自体は違法ではない
- ただし、契約内容と実態の乖離が重大なリスクを生む
- 「合法的な外部委託」と「違法な偽装請負」の境界線
「あなたのクリニックの事務長代行契約、本当に大丈夫ですか?」
2. 【要注意】違法となる3つのパターン
パターン①:偽装請負のリスク
- 院長が委託先スタッフに直接業務命令を出している
- 契約外業務を日常的に指示している
- リスク: 労働法違反、社会保険加入義務、労基法適用
パターン②:社労士独占業務の違法委託
- 絶対に委託できない業務:
- 労働者名簿の作成
- 賃金台帳の作成
- 就業規則の作成
- 労働・社会保険関係書類の作成・提出
- 罰則: 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
パターン③:権限集中による不正リスク
- 人事・経理権限が外部事務長に集中
- チェック体制の不備による経理不正・情報漏洩
3. 「包括契約だから大丈夫」は危険な誤解
多くの院長が陥る落とし穴:
- 契約書に「包括的業務委託」と書いても違法は違法
- 名目を変えても実態が独占業務なら処罰対象
- 「付随業務」「コンサルティングの一環」でも違法性は変わらない
判断基準:
- 「業として」行っているか
- 「報酬を得て」行っているか
- 「反復継続的」に行っているか
4. 「下請け構造」も完全にアウト
違法パターン:
クリニック → 事務長代行業者 → 社労士(下請け)合法パターン:クリニック → 事務長代行業者(一般業務のみ) クリニック → 社労士(独占業務)【直接契約】
重要: 非社労士との提携禁止(社労士法第23条の2)
5. 実際の処罰事例から学ぶ
摘発・有罪判例の実態:
- 無資格コンサル会社への懲役刑・罰金刑
- 依頼したクリニック側への行政指導
- 提出書類の無効化
- 損害賠償請求のリスク
「バレなければ大丈夫」は通用しない
- 社労士会による監視・摘発
- 行政機関への内部告発
- 労務トラブル時の発覚
6. 【実務家が教える】安全な事務長代行活用法
チェックリスト:
□ 業務委託契約書で責任分界が明確か
□ 社労士独占業務は有資格者と直接契約しているか
□ 院長からの直接指示を行っていないか
□ 権限分散とチェック体制が整っているか
□ 守秘義務・個人情報保護が契約書に明記されているか
推奨体制:
- 一般業務: 事務長代行業者
- 労務管理: 社労士と直接契約
- 内部統制: 定期的な第三者チェック
7. まとめ:「安く」より「安全に」
開業支援と労務管理の専門家からのメッセージ:
- 事務長代行は使い方次第で強力な経営支援ツール
- しかし法的リスクを軽視すれば経営基盤を揺るがす
- 「包括的に任せられる」という営業トークに要注意
- 初期投資をケチって後で数倍の損失を被るケースは多い
私たちのような専門家の役割:
- 開業計画段階からの法令遵守体制構築
- 事務長代行業者選定のセカンドオピニオン
- 既存契約の法的リスク診断
「あなたのクリニックの事務長代行契約、無料診断いたします」
※初回相談30分無料/オンライン対応可
当事務所は、クリニックに特化した社労士・行政書士事務所です。
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